契約結婚、またの名を執愛~身も心も愛し尽くされました~
 腰から尻にかけてを辿られ、不可思議な疼きが滲む。
 反射的に潤む瞳で東雲を見上げれば、彼の双眸には苛烈な欲が揺らいでいた。
 まるで希実を食べてしまいたいと言わんばかり。
 はっきりと乞われているのが伝わってきて、希実の中を官能が駆け抜けた。

「……僕の独り善がりな勘違いでないのなら……希実も少しは僕に心が傾いている?」

 いつも堂々とした東雲が、やや不安げに問いかけてくる。
 希実の返事を聞き逃すまいと、真剣に耳を傾けていた。いや、言葉だけでなく、こちらの視線や僅かな動きからも本心を読み取ろうとしている。
 切実さを帯びた質問に、希実は一瞬虚を突かれた。

「……君が僕と同じ気持ちでいてくれるなら……今夜希実の部屋へ行ってもいい? 駄目なら――はっきり断ってくれて構わない。僕はいくらでも待つつもりだ」

 それはつまり、『待つ』のであって『諦める』のではない。
 今かいずれかの違いであって、結果は同じだった。
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