契約結婚、またの名を執愛~身も心も愛し尽くされました~
 自室に希実が籠ってしまえば、答えが東雲に伝わらない可能性がある。
 籠城しているのか、待っているのか。
 つい先刻まで自分でも返事が曖昧だったくせに誤解してほしくなくて、希実は彼を出迎えるために玄関へ向かった。

「お、お帰りなさい……」
「……っ、――ただいま」

 ほんの一瞬眼を見張った東雲は、すぐに微笑んでくれた。
 だが、彼の双眸の奥に昼間見たものよりも高い温度の灯が点る。同時に、希実の肌がブワッと戦慄いた。

「可愛い部屋着だね。よく似合っている」
「あ、ありがとうございます……この前、買ったんです」
「希実は肌が白くて、淡いピンクがとても映えるね。もこもこしていて、本当に小動物みたいだ」

 靴を脱いだ東雲が、ネクタイを緩めつつ希実に近づいてきた。
 心臓が痛いくらいに乱打している。
 廊下で擦れ違う瞬間、彼が希実に囁いた。

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