契約結婚、またの名を執愛~身も心も愛し尽くされました~
 男の滴る色香にあてられて、余計に体温が上がってしまう。
 吸い込んだ空気にさえ、興奮を掻き立てる効能がある気がした。呼吸する度に、胸の奥がざわつく。
 今自分がどんな顔をしているのかは分からない。
 確かなのは頭の中が東雲のことで満たされて、思考力が鈍麻していることだけだ。
 彼の指先が希実の鎖骨に触れ、それだけでもう淫靡な声が漏れそうになった。

「……っ」
「ごめん。手が冷たかった?」
「ん……っ、いいえ、むしろ熱い、です……っ」

 ジンジンするくらいに、触れた部分から加熱する。
 けれどもっと密着したい。口には出せない欲求が増幅し、希実にできたのは濡れた瞳で東雲を見上げることのみだった。

「……そんな眼で見られたら、やせ我慢できなくなる」
「やせ……我慢?」
「そう。今だって死に物狂いで耐えている。本音は君を強引にでも抱いてしまいたい。だけど希実に怖がられたくないから、堪えているんだ」

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