契約結婚、またの名を執愛~身も心も愛し尽くされました~
「大口を開けていたところを見られていたなんて、恥ずかしいです……」

 穴があったら入りたい。
 目立たない自分のことを誰かが注視していたなど、考えたこともなかった。これからは気をつけようと、秘かに誓う。
 きっとさぞや間抜けな顔をしていたと思えば、居た堪れない心地になった。

「いや、大口なんて開けていなかったよ。大事に少しずつ食べていた。口へ運ぶ様が、まさにハムスターみたいで可愛かった。時々余韻を味わうように、虚空を見つめたりしてね」
「めちゃくちゃじっくり観察しているじゃないですか……!」

 想像しただけで羞恥のあまり転がりたくなる。
 控えめに言って、おかしな女だ。会社の食堂で無防備過ぎた。

「だって可愛かったから、眼が離せなかった」
「も、もうやめてください。それと、忘れてください……!」
「それは無理だ。網膜に焼き付いてしまった」

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