契約結婚、またの名を執愛~身も心も愛し尽くされました~
 シャンプーとカットとブローだけをお願いし、かかった時間は一時間ちょっと。
 最後の仕上げに差し掛かった頃、東雲は店に戻ってきた。
 そして開口一番、希実を褒め称えてくれたのだ。

「すごく似合っている。前の髪型も素敵だったけど、今も可愛いよ」
「あ、ありがとうございます……」

 鏡に映る自分は、真っ赤になってはにかんだ。
 丸みを帯びたボブは、殊の外希実の優しげな印象と魅力を引き出してくれる。
 動きのある毛先が、ラフでありながら品のいい華やかさを演出してくれた。
 眉毛の上で揃えられた前髪も希実には初めての試み。
 自分で見ても、『悪くない』と驚いた。

 ――いつも長さを整えるくらいだったから、すごく新鮮……だけどこれ、自分で再現できるかな?

 髪を縛れる長さはなさそうだ。となると、毎朝のセットは欠かせない。
 やや不安に思っていると、担当してくれた美容師がブローの仕方を説明してくれた。

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