契約結婚、またの名を執愛~身も心も愛し尽くされました~
「くせ毛を生かした髪形なので、ワックスを揉み込めば大丈夫です。それよりも乾かす際にこうして――」
「お勧めのワックスがあれば、購入していこう。支払いはこれで」
「ぁ……っ、わ、私が自分で払いますよっ?」

 背後で東雲がカードを出し、希実は振り返った。
 強引に連れてこられたとは言っても、髪を切ってもらったのは希実自身だ。ここは自腹を切るのが当然だろう。
 そう思ったのに、希実がキャッシャーへ行った時にはもう、決済が終わっていた。

「それじゃ次に行こうか」
「ありがとうございました。また是非いらしてください」
「え、ぁ、ありがとうございました……っ」

 当たり前のように希実の鞄を持った彼が、指を搦めて手を繋いでくる。
 非常に上機嫌だ。
 希実は扉の外まで見送ってくれた美容師に頭を下げつつ、東雲にエスコートされて歩いた。

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