契約結婚、またの名を執愛~身も心も愛し尽くされました~
 東雲がつけた淫靡な印を。

 ――でも何も言っていなかったし、態度にも出なかった。それが余計に恥ずかしい……!

 接客のプロとしてスルーしてくれたに決まっている。
 もしかしたら向こうは本当に何も気にしていないかもしれない。だが希実が精神的に負ったショックは、相当なものだった。

 ――あ、穴があったら入りたい……

 真っ赤になって身悶えても後の祭り。
 ニコニコと満面の笑みで見下ろしてくる東雲が、若干恨めしくなったとしても仕方なかった。

「ごめん、怒らないで。希実」
「お、怒っていません」
「お詫びに、好きなものを何でも買ってあげるよ」
「別に欲しいものはありません……!」

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