契約結婚、またの名を執愛~身も心も愛し尽くされました~
 平然と答える東雲は、照れた様子がない。
 あまりにも堂々としているものだから、ひょっとして希実の方が意識し過ぎなのかと思えたくらいだ。

 ――いや、そんなはずない。東雲さんが大胆なだけでしょ。わ、私の辞書には人前でイチャイチャするなんて書いていないもの……!

 朝から動き回り慣れないことをして疲れているはずなのに、さほど疲労感を感じないのは彼との時間が楽しいからか。
 時刻は十九時近く。そろそろ夕食にしようと東雲に提案された。

 ――充実した一日だな……突然美容院にも連れていかれたし、密度が濃い。でも……食事をしたら、今日はもう帰るのかな……?

 夢のようなデートの終わりが見えてきて、少しだけ残念に思う。
 同じ家で暮らしているのだから帰る場所は同じでも、不思議と『離れ難い』と感じたのだ。
 たぶん、まだ今日を終了にしたくないせいで。

 ――こんな気持ちは初めて……

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