契約結婚、またの名を執愛~身も心も愛し尽くされました~
 彼の怒りの矛先が、突如こちらにも向けられた。
 冷静であろうとしているのは傍から見て分かる。だが抑えきれない苛立ちが、東雲の全身から立ち上っていた。

「そ、れは……」
「僕は誠実に君への愛情を伝えてきたつもりだったが、足りなかったみたいだ。まさか新婚の妻が夫を信じてくれないなんて夢にも思わなかった」
「信じていなかったわけではなくて……!」
「では僕が出張中、どうしてずっと不安そうだったんだ? 特に昨夜は、とても顔色が悪かった。君は大丈夫だと虚勢を張りがちだから余計に心配になって、仕事を前倒しして帰ってみれば、浮気者扱いとは恐れ入るな」

 やはり気づかれていた。
 その上で希実を案じ、大急ぎで戻ってきてくれたのだと思うと、瞳の奥が熱くなる。
 この数日ずっと胸の中に蟠っていた重いものが、急に消えてゆく気がした。

 ――東雲さんが怒っているのに嬉しいなんて、私どうかしている……

「西泉さんとはどういう関係なんですか……?」
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