契約結婚、またの名を執愛~身も心も愛し尽くされました~
希実は勇気を振り絞り、彼の影から出て花蓮と相対した。
「……飯尾さんは東雲さんを……私の夫を侮辱しています。そのことを謝ってください。彼は妻である私を裏切ってなんていません」
これまで彼女に言い返すことはあっても、真正面から眼を見て声を震わせることなく発言できたことはなかった。
けれど今は、喉が詰まることもなく、明瞭な音にできた。
そのことに自分でも驚く。そして東雲も感心した様子で希実を見守ってくれていた。
「あ、謝ってほしいのは私の方……」
「何故です? 根拠のない嘘を散々私に言いましたよね。もしこれが他の方の耳に入れば、東雲さんの評判を意図的に落とそうとしたと思われても仕方ありませんよ。彼は一般社員ではありません。会社全体の問題になりかねない自覚はありますか?」
「え……?」
希実が淡々と告げれば、ようやく花蓮は己の所業に気づいたようだ。
段々と顔色が悪くなり、最後は真っ白になった。
「わ、私はそんなつもりじゃ……だいたい言い触らしたわけでも……」
「……飯尾さんは東雲さんを……私の夫を侮辱しています。そのことを謝ってください。彼は妻である私を裏切ってなんていません」
これまで彼女に言い返すことはあっても、真正面から眼を見て声を震わせることなく発言できたことはなかった。
けれど今は、喉が詰まることもなく、明瞭な音にできた。
そのことに自分でも驚く。そして東雲も感心した様子で希実を見守ってくれていた。
「あ、謝ってほしいのは私の方……」
「何故です? 根拠のない嘘を散々私に言いましたよね。もしこれが他の方の耳に入れば、東雲さんの評判を意図的に落とそうとしたと思われても仕方ありませんよ。彼は一般社員ではありません。会社全体の問題になりかねない自覚はありますか?」
「え……?」
希実が淡々と告げれば、ようやく花蓮は己の所業に気づいたようだ。
段々と顔色が悪くなり、最後は真っ白になった。
「わ、私はそんなつもりじゃ……だいたい言い触らしたわけでも……」