契約結婚、またの名を執愛~身も心も愛し尽くされました~


 約一瞬間ぶり。
 長くもあり、短くもある。
 共に暮らすようになってからの日数と、話すことすらなかった日々と比べれば、どちらとも言える『離れていた期間』。
 だが二人揃ってマンションに帰り、玄関のドアを閉じた瞬間、恋しかった気持ちが一気に弾けた。

「ただいま」
「お帰りなさい……!」

 靴も脱がずに抱き合って、鞄は足元に落ちた。
 しかしそれを気に留める余裕はない。
 視界に入るのは愛する人。
 両手でその全てを感じ取りたくて、他は一切意識の端にも引っかからなかった。
 鼻から大きく息を吸い込んで、東雲の香りで肺を満たす。
 頬を彼のジャケットへ押し付ければ、この上ない幸福感が押し寄せた。

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