契約結婚、またの名を執愛~身も心も愛し尽くされました~
「会いたかったです……!」
「僕もだ。電話ではよそよそしかったから、少し不安だった」

 希実のつむじに東雲の吐息が降りかかる。たったそれだけで、愉悦が全身を駆け巡った。

「ごめんなさい。色々あって……東雲さんを疑ってしまいました……」
「それは聞き捨てならないな。でも正直に言ってくれたから、許すよ」

 頭皮に彼の鼻が擦り付けられ、擽ったい。
 一瞬も離れたくない気持ちが込み上げ、希実はより強い力で東雲に抱きついた。

「……私、これからも東雲さんの奥さんでいていいんですか?」
「今更嫌だと言われても、逃がしてあげられない。君に捨てられたら、僕は駄目になってしまう」
「東雲さんが駄目になるところなんて、想像できません」

 常に堂々とし、余裕と自信を感じさせる人だ。希実如きのせいで打ちひしがれるとは思えなかった。

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