契約結婚、またの名を執愛~身も心も愛し尽くされました~
「なるよ。だって生まれて初めて自分が欲しいと渇望して、選んだ相手だ。……小百合さんとは確かに以前婚約していたけれど、それは僕の意思ではない。破談になっても、特に傷つくことはなかった。むしろ友人である彼女が叶えたい夢に向かえるなら、喜ばしいことだと祝福したよ。だけど希実だけは……絶対に失いたくない」

 微かに震えた声に、切実さが滲んでいた。
 希実の名前を呼ぶ声音が優しい。希われている心地がする。
 絡みついてくる彼の腕も、言葉以上に希実を欲してくれていた。

「私から東雲さんを捨てるなんて、あり得ません」
「僕だって同じだ。それなら僕たちは一生離れることはないね」

 ほぅっと吐き出された彼の呼気が、希実の耳を掠めた。
 生温かい熱が、全身に伝わってゆく。
 痺れに似たそれはたちまち四肢まで滲み、心の内側まで温もらせた。

「今すぐ希実を抱きたい」

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