契約結婚、またの名を執愛~身も心も愛し尽くされました~
 首筋に吸い付かれて、一瞬痛みが走る。
 赤い痕を残されたのは明白で、しかも位置的にハイネックを着なくては隠し難いかもしれない。
 更に希実が止める間もなく立て続けに唇を寄せられ、その都度リップ音が響いた。

「あ……っ、東雲さん! そこは見えちゃう……っ」
「見せつけてやりたい。希実は僕のものだって。でないと安心できない」
「は、恥ずかしいじゃないですか」
「こうでもしないと、君は僕の気持ちをまた疑うかもしれないじゃないか」

 やや拗ねた様子で彼が言うものだから、希実はつい笑ってしまった。
 まさかまだ先ほどのやり取りを根に持っているとは思わなくて、何だかおかしい。
 それに東雲の必死さが伝わってきて、可愛いと思った。

 ――こんな一面がこの人にあるなんて……

 まだ自分には彼について知らないことが沢山あるのだろう。
 おそらく、知っていることの方がよほど少ない。
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