契約結婚、またの名を執愛~身も心も愛し尽くされました~
「待って、東雲さん……!」
「待たない。出張中、ずっとお預けだったんだ。一刻も早く希実に触れたい」

 揶揄いとは違う真剣な表情と声に、彼の渇望が滲んでいた。
 男の劣情にあてられて、こちらも酩酊しそうになる。
 腹の奥がズクンと疼き、蜜口が潤むのが希実自身にも分かってしまった。

「希実は……? 僕の不在中、寂しいと感じなかったのか……?」

 服を着たままバスルームの床に下ろされ、至近距離で視線が絡んだ。
 膝をついた東雲が真摯な眼差しを注いでくる。その双眸に宿る焔に焼き尽くされそうだと思い、希実の喉がゴクリと鳴った。

「……勿論、寂しかったですよ……」

 同時に不安だった。
 早く帰ってきてほしいのに、結論を先延ばしにしたくて戻らないままでいてくれればと、愚かなことも願っていた。
 自分の気持ちも分からなくなって、そんな間隙を花蓮に突かれたのだろう。
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