契約結婚、またの名を執愛~身も心も愛し尽くされました~
 そして自分へ惜しみなく愛を注いでくれるのも、彼だけだと思った。

「……せめて脱衣所で脱がないと……」
「ごめん。少し焦った」

 謝るものの、東雲はバスルームを出る気はないらしい。むしろ脱衣所とこちらを隔てる扉を閉じてしまう。
 密室となった空間で、着衣のまま強く抱き合った。
 離れたくないのは、こちらも同じ。
 気持ちが高まったせいで、尚更離れ難い。
 希実が彼の背中に力一杯手を回せば、それを上回る強さで腰を抱かれた。
 座り込んだバスルームの床は、やや冷える。
 けれど自分の身体が発熱しているせいか、まるで気にならなかった。
 逆に火照っている肌に心地いい。
 密着する身体は、どんどん熱くなってくる。息は滾り、東雲が希実の服を脱がせてくるのを止めようとは、もう思わなかった。

「ふ……ん……っ」

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