契約結婚、またの名を執愛~身も心も愛し尽くされました~
 急く思いが見え隠れしていても、繊細な手つきでブラウスのボタンを外されると、大事にされている実感が湧き、嬉しくなる。
 一つずつボタンが外される度、あちこちにキスを落された。
 唇は勿論、瞼や鎖骨にも。
 次にどこへ口づけされるか分からないので、眼が離せない。
 ドキドキとしながら、まるで待ち望んでいるようだ。
 顎にされた時には勿体つけられた気もして、意図せずにか細い息が漏れる。
 喉を震わせた呼気は、淫靡な音を伴った。

「東雲、さん……っ」
「プレゼントのラッピングを解いている気分だ」

 脱がされた服は、片隅に重ねられてゆく。
 素肌が晒された肩を摩られると、甘い喜悦が希実の内側を騒めかせた。
 ただ脱いでいるだけ。
 これまでにも何度も味わった気恥ずかしさだ。
 それでも慣れることのない時間が、今日は殊更に長い気もする。
 実際、焦らされているのかもしれない。
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