契約結婚、またの名を執愛~身も心も愛し尽くされました~
 丁寧過ぎる手付きで生まれたままの姿にされる頃には、希実の息は上がっていた。
 酔ってものぼせてもいないのに、眩暈がする。
 呼吸が乱れて、喘ぐように息を継ぐ。
 寒さと暑さを両方味わいつつ、希実は潤む眼差しを彼に据えた。

「……私ばっかり狡い、です……っ」

 裸なのは希実だけ。
 彼はまだ、ジャケットすら脱いでいない。
 その差が恥ずかしくて、翻弄されっぱなしの自分がもどかしくもあった。

「それじゃ、希実が脱がしてくれる?」
「わ、私が……っ?」

 想定もしていなかったことを告げられ、狼狽した。
 当然、男性の服を脱がせたことなんて一度もない。そんな発想を抱いたこともなかった。
 動揺して東雲を見返せば、彼は両手を広げて待っている。
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