契約結婚、またの名を執愛~身も心も愛し尽くされました~
 床を跳ねた湯が肌を濡らして、微かな刺激も官能を掘り起こした。
 いつの間にか二人とも立ち上がり、夢中で抱き合う。
 身体の凹凸がピタリと合わさる抱き心地が、気持ちの良さと充足感を運んできた。まるで初めから誂えられたみたいで嬉しい。
 全身で好意を伝え、しっとりと汗ばむ肌を弄った。
 シャワーでずぶ濡れになりながら、視界に宿すのは互いだけ。
 呼吸と言葉を奪い合うキスは、どんどん深く濃厚なものになる。
 淫猥な水音が自分たちの立てているものか、シャワーによるものかは分からなかった。
 だがどちらでもいい。
 耳も眼も、舌も鼻も、触感も全部彼を感じ取るためだけにあればいい。
 他は全部後回しで構わない。
 約一週間ぶりに味わう夫の存在以上に大事なものなんて、希実には一つもなかった。

「東雲さん……好きです……」
「もっと言ってくれ、希実」

 恍惚も露わに、東雲が希実の髪へ指先を遊ばせた。
 滴が滴る髪を掻き分け、耳朶を齧られて首筋を舐められる。
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