契約結婚、またの名を執愛~身も心も愛し尽くされました~
「え、安斎さんが謝る必要はありませんよ。むしろとってもお世話になっていますし!」

 はははと明るく笑った彼女が、希実の背後に視線を止めた。
 そして慌てた様子で立ち上がる。

「あ、それじゃ私は先に失礼しますね」
「え? 私も……」
「いえいえ、まだ時間はありますからゆっくりしてください」

 いつになく慌ただしく去ってゆく彼女を不思議に思っていると、希実の肩が後ろから叩かれた。

「偶然外から君が見えた」
「東雲さん!」

 振り返った先にいたのは、希実の夫だった。どうやら同僚は彼に気づいて気を利かせてくれたらしい。

「仕事の途中で会えるなんて、嬉しいな」
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