契約結婚、またの名を執愛~身も心も愛し尽くされました~
「何なら書面にしていただいても構いません。ですから、契約結婚を――お受けします。あくまでも表向きで中身のない婚姻だと考えていいんですよね?」

 籍を入れるにしても、実態は伴わない。
 いずれ離婚して、別々の人生を歩んでいくのが前提の関係。
 終わりさえ見えていれば、不器用な希実にもこなせる気がした。

「ええ。周囲に僕が妻を迎えたと思わせられれば成功です。時には佐藤さんにパーティーなどの同行を求めることもありますが、貴女の意思を最優先しますよ。無理強いはしません」

 それなら、希実の生活に大きな変化はないかもしれない。
 仕事と割り切れば、さほど悪いものとは思えなかった。

「――ただ、一つだけ佐藤さんに聞いてもいいですか?」
「は、はい。何でしょう」
「貴女にも利益があるとおっしゃっていましたが、具体的にはどういった内容でしょう。どんな見返りがあるにしろ、人生の一時を消費するには報酬が必須ではありませんか?」

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