契約結婚、またの名を執愛~身も心も愛し尽くされました~
それでも無条件で他人を信じるのが難しい東雲に、憐れみを抱かずにはいられなかった。
「あの……お恥ずかしい話、両親から勧められている縁談を断りたいんです……」
隠しても仕方ないと思い、希実は正直にこちらの事情を打ち明けた。
適当な嘘ではおそらく彼を騙せない。ならば手の内を明かして、少しでも信頼関係を築くのが望ましいと判断したのだ。
「誰かに恋人役を演じてもらっても、いつまでも躱しきれません。それこそ『はやく結婚しろ』と迫られるだけです。だったら、安斎さんと本当に籍を入れれば、しばらく時間を稼げると考えました」
「失礼ですが、ご両親に紹介されているお相手は好みじゃなかったのですか?」
「好みじゃないどころか……むしろ絶対に嫌です!」
いつになく声が大きくなったのは、それだけストレスが溜まっていたからだった。
前回の里帰り中にチラッと見かけた本家の長男を思い出す。
清潔感のない格好と、尊大な態度。いやらしい目で若い女性陣を不躾に眺めていた。
あの男に嫁ぐのは、想像するだけで苦痛だ。
生理的に無理、とはこういう時に使うのだと実感した。
「あの……お恥ずかしい話、両親から勧められている縁談を断りたいんです……」
隠しても仕方ないと思い、希実は正直にこちらの事情を打ち明けた。
適当な嘘ではおそらく彼を騙せない。ならば手の内を明かして、少しでも信頼関係を築くのが望ましいと判断したのだ。
「誰かに恋人役を演じてもらっても、いつまでも躱しきれません。それこそ『はやく結婚しろ』と迫られるだけです。だったら、安斎さんと本当に籍を入れれば、しばらく時間を稼げると考えました」
「失礼ですが、ご両親に紹介されているお相手は好みじゃなかったのですか?」
「好みじゃないどころか……むしろ絶対に嫌です!」
いつになく声が大きくなったのは、それだけストレスが溜まっていたからだった。
前回の里帰り中にチラッと見かけた本家の長男を思い出す。
清潔感のない格好と、尊大な態度。いやらしい目で若い女性陣を不躾に眺めていた。
あの男に嫁ぐのは、想像するだけで苦痛だ。
生理的に無理、とはこういう時に使うのだと実感した。