契約結婚、またの名を執愛~身も心も愛し尽くされました~
「……佐藤さん、貴女の重荷を僕が一緒に背負うことはできますよ。一人で抱え込まず、僕を共犯者にしてみませんか?」
「共犯……者?」
「ええ。お互い利用すると言うより、協力し合うんです。きっとその方が佐藤さんには気が楽でしょう? 結果は同じだとしても、心構えは大事ですからね。とりあえず支え合うパートナーになるのは如何ですか? 二人三脚で契約結婚というミッションに挑みましょう」

 覚悟を固めても迷う部分のあった希実の背中が、軽やかに押される。
 強気に他人を利用してやると誓ったところで、一歩踏み出すのは勇気がいるものだ。
 この期に及んで情けなく足踏みしていた希実は、心の重石が随分減ったのを感じた。

 ――たぶん……ううん確実に、安斎さんは私のために言葉を選んでくれたんだ……

 彼も目的を遂行するため希実を逃したくないのだとしても、罪悪感を抱かないようこちらに最大限配慮してくれたのだ。
 それも、至極さりげなく。
 道化とも言える軽い口調で。
 何て気配りのできる人だろう。
 そう思うと、急に東雲に対する親近感が生まれた。
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