契約結婚、またの名を執愛~身も心も愛し尽くされました~
彼の宣言通り滑らかに発進した車の中で、希実はそっと息を吐き出した。
いつもなら『はい』と返事をするのに、声が喉に引っ掛かっている。
ただ車窓を流れる景色を眺めることで、沈黙をごまかした。
夜でも眩しい都会の夜景が、希実の焦りなど知らぬ顔で瞬いている。
地上の明かりが煌びやかなせいで、空の星や月はどこか存在感が乏しい。
上京したばかりの頃は夜の眩さに圧倒されつつ、嘆いたものだ。
今でも、昼夜問わず空の美しさに関しては田舎の方が素晴らしいと思っている。それだけは、何年経っても変わらない印象だった。
そして希実は、迂闊にもかなりの時間が経ってから、成り行きで数日後に同居する流れに乗ってしまった事実に気づいたのだ。
「……ま、待ってください東雲さん!」
「高速に乗ってしまったから、今すぐは待てませんね」
「えぇえっ」
愕然として車外の様子を窺えば、一般道ではなくなっていた。
「し、した道で行かれますよ」
「この方が早いじゃないですか。希実さんも仕事終わりで疲れているでしょう?」
いつもなら『はい』と返事をするのに、声が喉に引っ掛かっている。
ただ車窓を流れる景色を眺めることで、沈黙をごまかした。
夜でも眩しい都会の夜景が、希実の焦りなど知らぬ顔で瞬いている。
地上の明かりが煌びやかなせいで、空の星や月はどこか存在感が乏しい。
上京したばかりの頃は夜の眩さに圧倒されつつ、嘆いたものだ。
今でも、昼夜問わず空の美しさに関しては田舎の方が素晴らしいと思っている。それだけは、何年経っても変わらない印象だった。
そして希実は、迂闊にもかなりの時間が経ってから、成り行きで数日後に同居する流れに乗ってしまった事実に気づいたのだ。
「……ま、待ってください東雲さん!」
「高速に乗ってしまったから、今すぐは待てませんね」
「えぇえっ」
愕然として車外の様子を窺えば、一般道ではなくなっていた。
「し、した道で行かれますよ」
「この方が早いじゃないですか。希実さんも仕事終わりで疲れているでしょう?」