契約結婚、またの名を執愛~身も心も愛し尽くされました~
大問題だ。
むしろ何も大丈夫な要素がない。
個室は確保できるとしても、それは間違いなく一つ屋根の下での同棲だった。
当初の予定では完全二世帯住居を用意し、互いの生活には一切干渉しないで済むはずだったのだ。
しかし同じマンションで暮らすとなれば、そうはいかない。
関わらない心づもりであったとしても、視界には入る。生活音だって聞こえてしまう。
その上で、完全無視ができるとは思えなかった。
――お風呂上りにだらけた格好をしたり、トイレに籠ったりできなくなるよね……それは困る。
希実もそら若い乙女の身だ。羞恥心は人並にある。
この世の美を凝縮したような東雲の前で、自堕落さを開帳する勇気はなかった。
「待って、無理です!」
「ですがこのまま事を先送りにしていると、飯尾さんに疑われたままです。彼女は色々横槍を入れてくるでしょう。放置しても構いませんが、外野が煩くなれば希実さんも困るのではありませんか。付け入る隙を与えても、得なことはありませんよ」
「す、隙……?」
むしろ何も大丈夫な要素がない。
個室は確保できるとしても、それは間違いなく一つ屋根の下での同棲だった。
当初の予定では完全二世帯住居を用意し、互いの生活には一切干渉しないで済むはずだったのだ。
しかし同じマンションで暮らすとなれば、そうはいかない。
関わらない心づもりであったとしても、視界には入る。生活音だって聞こえてしまう。
その上で、完全無視ができるとは思えなかった。
――お風呂上りにだらけた格好をしたり、トイレに籠ったりできなくなるよね……それは困る。
希実もそら若い乙女の身だ。羞恥心は人並にある。
この世の美を凝縮したような東雲の前で、自堕落さを開帳する勇気はなかった。
「待って、無理です!」
「ですがこのまま事を先送りにしていると、飯尾さんに疑われたままです。彼女は色々横槍を入れてくるでしょう。放置しても構いませんが、外野が煩くなれば希実さんも困るのではありませんか。付け入る隙を与えても、得なことはありませんよ」
「す、隙……?」