契約結婚、またの名を執愛~身も心も愛し尽くされました~
 ――何でなの? こんなイベントが私の人生に起こるなんて……

「ほら、ご両親も早めに連絡をもらわないと困ってしまいますよ? 何も用意していただく必要はありませんが、あちらにも準備はあるでしょうし」

 正論だ。
 しかも希実の父母を気遣ってくれている。
 ありがたいし、異論は全くないのだが。

「ま、まだ……」
「希実さんのご両親は、一日でも早く挨拶に来いとおっしゃっていませんか? 遅れればその分心証が悪くなりますし、順序が違うと不快に思われるかもしれません。この結婚を滞りなく成功させるためには、やはり挨拶の日程を早めた方がいいですね」

 圧が強い。
 反論する余地がなく、結局希実は促されるまま母に電話をかける他なかった。
 遠隔操作されている気がするのは、錯覚だろうか?
 完璧に主導権は東雲に握られていた。
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