塩系男子のステルス溺愛 クールで無愛想な義兄が、なぜか私にだけ甘すぎる件
 事件以来、ハル君は大学に来なくなった。スマホでメッセージを送ると、心が落ち着くまで休むと言う。
 あんなことがあったのだから当然だ。サークルの仲間には、家庭の事情でしばらく帰省すると連絡したようだった。
 幸い詳細はニュースでは報じられなかったため、誰も勘繰る人もいない。

 犯人の男は重傷を負っていたけれど、逮捕されたからもうハル君に危害を及ぼすことはない。けれど一度でも信じた人に裏切られてあんな大事件となって傷つかないはずがない。
 ハルの気持ちを思うと痛ましくて、辛かった。

 ひなたもまた愛憎から起きた惨状を見て、暗い気持ちで過ごしていた。人を狂わせる恋という魔物が、さらに恐ろしくなり始めている。

 ──人を好きだ好きだって言いながら傷つけたりする人って、結局自分しか好きじゃないんだろうな。
< 156 / 311 >

この作品をシェア

pagetop