塩系男子のステルス溺愛 ~義兄の愛はわかりにくい
 子供の頃から何度も苗字が変わるのをからかわれたり、転校してなじめなかったりしたけれど、それだってひなたが悪いような気がする。

 ──あれだけ自由に生きているお母さんがへっちゃらなのだから、いちいち折れそうになる私が弱いんだ。

 今度の学校ではちゃんと周りに合わせて、浮かないように、馬鹿にされないように頑張ろう。
 話を合わせられるように流行りの曲も聞くし、人気アイドルの名前と顔を覚えよう。勉強だって頑張る。

 そうして、『普通』の合格ラインに達すれば、嫌な目にも合わなくて済む。

 新しく配られた教科書は、今までの公立で使っていたものとは違っていた。進学にかなり力を入れている中高一貫の私立高は、大分勝手も違うようだ。新しい家、新しい学校。新しい家族。
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