塩系男子のステルス溺愛 クールで無愛想な義兄が、なぜか私にだけ甘すぎる件
翌朝、自転車がパンクしたのでバスで通学することにすると、前の方にひなたが見えた。
家でもほぼ会話をしたことがない。思春期の男女ということで親父が気を使って二人を迎え入れる前に二階にも風呂を増設したし、食事の時間は敢えてこちらが避けている。
たまに廊下ですれ違うと、まるでひなたは悪いことでも見つかったかのようにビクっとしてから小さな声で挨拶をする。
たすくにはマトモな父親がいたけれど、ひなたにはあの恋愛脳の馬鹿な母親しかいなかったのだと思うと、同じ片親でも多少の同情はある。
だからといって、こいつを家族とは思えない。
嫌いというのではないが、あまり関わらないほうがよさそうだ。しょせん、たすくにとっては自分の家というテリトリーを侵す者で、歓迎はしていない。
バスの前のほうで立っているひなたは無視することにして、鞄からイヤホンを取り出してスマートフォンで音楽を聴いて自分の世界に入る。