塩系男子のステルス溺愛 クールで無愛想な義兄が、なぜか私にだけ甘すぎる件
 たすくに助けられたあと、警察官に被害届を出すかと問われ咄嗟に断ってしまった。目撃者も証言してくれると言ったのに、申し訳ない。とにかくあの場から逃げたくて、忘れたい一心だった。

 誰もいない家に帰り、思い出してトイレで二度嘔吐した。一度落ち着いた蕁麻疹が再び手足に出てくる。

 ──気持ち悪い。

 どうして抵抗できなかったのか。被害届も出せずにいたのか。
 
 それはひなたが弱いからだとひなたは思っている。
 悪いのは痴漢だけど、どこかで自分も悪いと思ってしまう。
 隙があったからだとか、すぐに声をあげなかったからだとか。
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