前世恋人だった副社長が、甘すぎる
エレベーターに乗ると、怜士さんが得意げに告げた。
「穂花が冷たい男は嫌いだと言うから、あの女に温かく対処してやった」
「……え?」
「これで満足か?」
私は怜士さんを見上げていた。
怜士さんは相変わらず涼しい顔をしているが、胸がずきんと痛んだ。
私は怜士さんが私にクリスチーヌを重ねているのが辛かった。
だけど、私だって怜士さんにマルクを重ねていることに気付いた。
さらに、マルクは優しいのに怜士さんは優しくない、なんてマルクと同じであることを要求していた。
もちろん、社員のためにも怜士さんは穏やかでいて欲しいが、私の心の中はそれだけではなかったのだ。
「……ごめんなさい」
思わず謝っていた。
ごめんなさい、マルクと比較をしてしまって。なんてこと、言えるはずもないのだが。