前世恋人だった副社長が、甘すぎる
どうやってホテルに辿り着いたのか分からない。
涙で濡れた私が扉を開けた瞬間……
「菊川さん!どうしたの!?」
慣れ親しんだスタッフたちが一斉に迎えてくれる。
その中には、昨日会ったばかりの泉もいた。
「副社長のパワハラで、また戻ってくることになったんだよね!?」
「菊川さん、泣いてるんですか!?
そんなに副社長、キツいんですね!」
スタッフたちはどうやら、私が副社長にパワハラをされて帰ってきたと思っているらしい。
それはもちろん違うが、怜士さんとの今までのやり取りを説明するのも違う気がする。
「ごめんなさい、大丈夫です!!
風が寒くって涙が出てしまって!!」
なんとか苦しい言い訳を考えた。
だけど、こうやって職場のみんなが私を受け入れてくれたのも嬉しいし、職場のみんなのおかげで怜士さんのことを考える時間も少なくなったに違いない。
「すぐに戻ってくることになりましたが、これからもよろしくお願いします!」
私は頭を下げていた。