前世恋人だった副社長が、甘すぎる





そして今日も何事もない一日を過ごすため、私はフロントに立つ。

いつものように

「いらっしゃいませ、ようこそお越しくださいました」

笑顔で対応しながら、心の中は空っぽだった。

あれから二週間経ったというのに、私はまだ怜士さんのことばかり考えている。



こんななか、

「いらっしゃいませ。ご宿泊ですか?」

引き攣った作り笑いでお客様を迎えたが、

「いえ、食事の予約をしたくて」

目の前に立ったスーツの男性が言う。

「かしこまりました。お日にちと時間をレストランに確認いたします。

当ホテルでは最上階のフランス料理店と、二階の和食、中華……」

そう案内している時、

「穂花ちゃん!」

急に男性に呼ばれた。

驚いてまじまじ見ると……そこに立っているのは透き通るような肌と、さらさらの茶色っぽい髪、まるで現世に現れた王子様のような素敵な見た目の、

「川原さん!」

だったのだ。

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