前世恋人だった副社長が、甘すぎる
そう、きっと前世の私は幸せだった。
怜士さんは辛い記憶しかないのかもしれないが、私の心に残るのは彼の笑顔、温かさ、優しさ。
あんなに愛されて、あんなに大切にされて、本当に幸せだった。
私の言葉に、怜士さんは口元を押さえる。
そんな怜士さんに、そっと寄り添った。
私の剥き出しの腕は、怜士さんのジャケットに触れ、ジャケット越しに温かさが伝わってくる。
「彼女は、彼が大好きでした。
彼以外の男性と結婚しなければいけなかったら、次は彼女の心が死んでしまったでしょう。
……彼女は幸せでした。最期の最期まで、愛する人に大切にされて」
怜士さんは下を向き、私に見られないようにしている。
だけど分かっている、彼は泣いていると。
そして私の頬も涙が伝う。
「俺は彼女を思って一生独り身でいようと思ったのに……穂花が現れた」
その声は弱々しく震えている。