前世恋人だった副社長が、甘すぎる



あんなに冷酷で強い副社長が、こんなにも弱く全てを曝け出す姿を想像出来る人はいるだろうか。

怜士さんは、出会った時から私には全てを見せてくれた。

その愛すら隠したことはなかった。



「信じられなかった。

あんなに愛しい人が、また俺の前に現れるなんて……」


ただ寄り添って、二人で震えている。温かい涙を流しながら。

そして、怜士さんの甘くても悲痛な叫びのような声が、胸を抉っていく。


「穂花は前世のあの人を思わせる気品や美しさがあるのに、親しみやすくて庶民的だったりして。

俺の悪戯にいちいち頬を染めたり、もう!と俺の世話を焼いてくれたり、ビールをぐいぐい飲んだり……

小さなことが、全て幸せだった。

俺なんかが、こうも幸せになっていいのかと思うほど」



怜士さんは私の中にクリスチーヌをみていると思っていたが、私自身のことも見てくれていたことを思い知る。

私は幸せだ、今も昔も大好きな人に、こんなにも愛されて。


< 235 / 258 >

この作品をシェア

pagetop