前世恋人だった副社長が、甘すぎる


唇が離れると、副社長は今日一番の甘ったるい声で告げた。


「それなら、結婚を前提に俺と付き合って」


その大きな指が、そっと唇に触れる。

結婚!?いきなり飛びすぎでしょう!?なんて思うが、副社長の甘い瞳を前に何も言えなくなる。


「……はい」


否定なんて出来なかった私の言葉に、副社長は顔をくしゃっとさせる。

そして、少年のような純粋な笑顔で言う。


「よかった……」


どうしてそうも、幸せそうにするの?心から嬉しそうにするの?

私だって、嬉しいと思ってしまうから。


「すげー緊張した」

なんて言っている副社長を見て、副社長も案外普通の人なのかもしれないと思った。

社員からは冷酷だと恐れられ、私の前では公私混同。甘くって優しくって……私だって好きなのだろう、認めたくないのだが。


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