凍てつく乙女と死神公爵の不器用な結婚 〜初恋からはじめませんか?〜
「いつの間に。俺、紹介されてないんだが」
「紹介する必要が?」
「あるだろ。俺は上司である以前に、お前を弟のように思ってる」
熱く告げられた思いに、カルロスは目を細めて「……はあ」と呟き、それにすぐさまエリオットが「煩わしそうな顔をするな!」と指摘する。
「何でもいいんで、早くサインください。すぐに締結してしまいたいので」
「なんでそんなに急ぐ。彼女、ちゃんと合意してるよな? お前に脅されてたり」
「なぜ俺がそんなことを?」
何か言いたげなエリオットをカルロスはじろりと見下ろし、黙ったところで自署の下の唯一の空白となっている認め人の欄を指先でトントンと叩く。
早く書けという圧力に屈するように、エリオットは婚姻契約書を手に取り、署名を施していく。
「すぐに食事の場を設けろよ。じゃなきゃ、家に押しかけるからな」
エリオットのぼやきにカルロスは「はいはい」と返事をし、そして、ポケットから小箱を取り出して机上に置く。
「それとこれも調べてもらいたい」
「なんだこれ」