凍てつく乙女と死神公爵の不器用な結婚 〜初恋からはじめませんか?〜
(……温かい)
カルロスの光の魔力が体に染み込むと一気に闇の魔力が抑え込まれ、ルーリアの呼吸も徐々に楽になっていく。
まだ光を纏っているセレットが調合台の上で体を起こしたところで、ルーリアもゆっくりと目を開け、カルロスの腕の中で大きく息をつく。
そして顔をあげて、セレットから闇の魔力の気配が消え去ったのを見て取りると、わずかに表情を和らげ、カルロスの腕に身を預けるようにもたれかかった。
カルロスもルーリアの状態が安定したことにホッとしつつ、改めて、セレットと棚の中にぎっしり詰まっている回復薬へと視線を向けた。
「……それにしてもすごいな。闇の魔力をここまであっさり払える者なんて滅多にお目にかかれない。しかもあれだけの量を作った後にだろ? 理解できない」
「あっ、あの、回復薬がなかったので、お婆さんにお渡しするために高価な聖水を少し使わせていただきました。もちろんもったいないのであれらには使ってません。聖水を生成するのにお水は使わせていただきましたけど」
勝手に高価な聖水を使ってしまったことは早めに言わなければと考えていたルーリアは、カルロスに対して今日一日の自分の行動を報告する。
「聖水を自分で生成したのですか」
それを聞いていたレイモンドから驚いた声で感想が飛んでくると、カルロスは「回復薬を見てみろ」と促す。レイモンドはすぐに戸棚へと向かい、先ほどのカルロスと同じように補充されていた数にまず驚き、続けて回復薬を手に取り言葉を失う。
その表情から、クロエラに「もう少しちゃんと生成できないの? お前の作ったものは低価でしか売れないから、まったく利益にならない」と何度も言われてきたのを思い出し、ルーリアは気まずそうに謝罪する。