凍てつく乙女と死神公爵の不器用な結婚 〜初恋からはじめませんか?〜

 しかしすぐにカルロスが理解した様子で小さく頷き、言葉を引き継いだ。

「黒精霊から祝福を受けたという話か。それなら聞いている」

 カルロスが表情も変えず、なんてことない口調であっさりと認めたため、逆にルーリアが呆気に取られたように目を見開いた。

「……そ、そうですか。ちゃんと聞いているのなら、少し安心しました」
「さっきうなされていた時、光と闇の魔力の混濁を感じたのだが、暴走の兆候があったということだな」

 知らず知らずのうちに、彼が自分の中にある闇の魔力と相対していたことを告げられ、ルーリアは驚きで目を瞠る。驚いたのは自分がそういう状況に陥っていたことではなく、闇の魔力をしっかり感じ取った後でも、カルロスにルーリアを邪険に扱う素振りがまったく見られないことだった。

「私の存在を不吉だとか、嫌だとか思わないのですか?」
「思わない。精霊から祝福を受けるということ自体が滅多に起きない中で、しかも黒精霊からだなんてと驚きはしたが、どうしてあの子は黒精霊に狙われていたのかという子供の頃からの疑問が解けてすっきりしたくらいだ」

 伯父や伯母は、ルーリアの中に根を張っている闇の魔力がほんの少しでも見え隠れすると、恐れ慄くように動転し、怒鳴りまくっていた。
 その違いに逆にルーリアが動揺するものの、王妃の誕生日パーティーでの黒精霊との遭遇時はもちろんのこと、子供の時ですら臆することなく立ち向かっていた彼の姿を思い返せば、カルロス・ジークローヴという人間の格の違いというものを目の当たりにしたような気持ちにさせられていく。

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