凍てつく乙女と死神公爵の不器用な結婚 〜初恋からはじめませんか?〜
「魔力が暴走するとはどういうことだ。戦いの場で命の危機に直面して、いつもより力を発揮できたことならあるが……さすがにそういうことではないよな」
首を傾げて考え込んだカルロスと同じように、ルーリアも難問を解くときのような顔つきとなる。
「私自身もよく分かっていないのですが、感情によって光の魔力が増幅することがあります。その時、私の中で息を潜めている闇の魔力が、光の魔力を餌にして大きくなって、それに反発するようにまたさらに光の魔力が膨んで、二つの魔力がせめぎ合って暴走に繋がってしまうような……」
言いながら恐くなって、ルーリアは両手で自分の体を抱きしめた。
「今まではかろうじて、光の魔力で抑え込めることができたのですが、闇の魔力に負けて取り込まれてしまったら、私はここにいる皆さんを傷つけることになるかもしれません」
嫌な未来の予想に表情を曇らせたルーリアをカルロスはじっと見つめた後、組んでいた腕を解き、片手を顎に添えて、足元に視線を落として再び考え始める。
「光と闇は相性が悪すぎるからな。だからこそ、どうして黒精霊がルーリアに狙いを定めたのか気になる。闇の世界に取り込みたいだけなら、他の魔力を持つ赤子を狙った方が簡単だ……黒精霊、いや、精霊からの祝福について、やはりもっと深く知る必要がありそうだな。図書館の文献をあさってみるか」