凍てつく乙女と死神公爵の不器用な結婚 〜初恋からはじめませんか?〜
今度はルーリアが、独り言のようにぶつぶつと自分の考え述べるカルロスをじっと見つめる。黒精霊から祝福を受けたことで、腫れ物を扱うように接してくる者はたくさんいたが、これほどまで親身になって自分のことを考えてくれた人はいなかったため、ルーリアは嬉しくて胸が温かくなっていく。
「不幸をもたらす存在でしかない私を引き受けてくださってありがとうございます。分かっていましたけど、カルロス様はお優しい方ですね」
媚びている様子もなくそんなことを言ってきたルーリアにカルロスは面食らった顔をし、大きく横に首を振った。
「いや、俺にもメリットがある。黒精霊は闇の魔力を扱う者たちと繋がっている。俺はそいつらが憎い。この人生をかけてそいつらを根絶やしにするつもりだ。だから、ルーリアに釣られていくらでも近寄ってくればいい。迎え撃ってやる」
強い口調で告げられた思いを聞き、いったい何が彼をそうさせているのかとルーリアは不思議な気持ちになる。
「手元に置いておくために結婚という形をとったが、夫婦になろうだなんて思っていない。だからルーリアもなろうとしなくていい。もし今後ルーリアの中の闇の魔力が消え失せることがあれば、すぐにでも離婚に応じてやるから安心しろ」
思わずルーリアは息を詰め、その後、納得するように小さく頷いた。
(この結婚には愛などないのだから、そう言われるのも当然のこと)
頭ではちゃんと理解し受け入れても、いつか彼の元から去るときが来るかもしれないと思うと、少しばかり寂しさを覚え、ルーリアの胸が苦しくなる。
カルロスは戸口まで足を進めると、黙って俯いているルーリアへと踵を返す。