凍てつく乙女と死神公爵の不器用な結婚 〜初恋からはじめませんか?〜
「それと、ルーリアが自我を失い闇の魔力を使い、この屋敷の者たちを傷つけるようなことがあれば、俺はお前を闇の者とみなし、責任を持ってその命を終わらせてやる」
きっぱりと迷いなく告げられ、ルーリアはゆっくりと顔をあげ、カルロスを見つめ返す。
「……わかりました。私も殺されるならカルロス様の方が良いです。その時はひと思いにお願いします」
ルーリアは穏やかな声でそう返事をすると、カルロスの元へと近づいていく。
殺すと宣言されたのにも関わらず少しも取り乱さないルーリアにカルロスは違和感を覚える。そして、近づいてきた彼女の手に当然のごとくランタンが握りしめられているのに目を留めると同時に、それを素早く取り上げた。
「これは置いていけ」
さっきは顔色ひとつ変えなかったというのに、ルーリアは大きく息をのんだあと、顔を青ざめさせて、ぶるぶると首を横に振る。
「こ、これだけは駄目です。手放せません」
「邪魔だ。必要ない」
「わっ、私にとっては、必要なものです。実は魔法石に光の魔力が込められていて、結界代わりになっていて闇の魔力が抑えられています。これがないと、皆さんにご迷惑を……カルロス様!」
カルロスはランタンをテーブルに置くと、それを掴み取ろうとしたルーリアの手を素早く捕らえて、そのまま手を引っ張る形で共に部屋を出た。
ルーリアは怯えた様子で体を小さくさせていたが、次第に廊下が光の魔力に満ちていることに気づいたらしく、驚いた様子で周囲をきょろきょろ見回し始める。
そこでルーリアは、カルロスが朝早くから設置していたランタンを見つけて言葉を失う。しかも、それはひとつだけでない。二階廊下や階段、そして一階廊下にいくつも並んでいる。案内された先は食堂で、そこの窓際や棚の上にもふたつほど置かれてあった。