凍てつく乙女と死神公爵の不器用な結婚 〜初恋からはじめませんか?〜
「この方……カルロス坊ちゃんの花嫁様で合っておりますよね?」
「合ってる」
「ルーリア・バスカイルと申します。世間知らずでご迷惑ばかりおかけすると思いますが、よろしくお願いいたします」
即答したカルロスへと動揺の眼差しを投げかけたエリンへと、ルーリアが丁寧に頭を下げたため、エリンは混乱した様子で頭を抑えた。
「ハンカチ、ありがとうございます。洗ってお返しします」
「あらやだご冗談を」
ご令嬢がハンカチを自分で洗う訳がないとエリンは笑い飛ばしたが、もちろんルーリアはこれまでそうしてきたように自分の手で洗って返すつもりであったためきょとんとする。
そんなルーリアの反応にエリンは表情を固まらせた後、ぎこちなくもルーリアの手からハンカチを掴み取り、そそくさとポケットにしまう。
「奥様となられるお方にそんなことさせられませんよ。それより、ご挨拶させてくださいな。私、ジークローヴ家に仕えさせて頂いております、エリン・ファーカーと申します。お食事ができておりますので、どうぞお座りになってください」
エリンに軽く背中を押され、ルーリアは戸惑いながらもテーブルへと近づいていく。テーブルは十名ほどが着席できるくらい大きく、そこにはもうすでにセレットが座っていた。
「先に食事をいただいているよ」
セレットはカルロスとルーリアに向かってニヤリと笑うと、グラスに入った飲み物を一気に飲み干して満足そうに息をつく。エリンが「こちらへどうぞ」と椅子に手を差し向けつつルーリアに話しかけると、セレットから「おかわりをいただけるか」と声がかけられる。すぐさまエリンは「朝っぱらから酒ばかり。これで最後だからね」と呆れた顔で答え、その場を離れていった。