心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない

 マリアの純粋な質問に、王子は両手で顔を覆い疲れたように項垂れた。
 普段であればこういう時には怒ったように教えてくれる王子だが、なぜか今日は「今のこの状況で俺からは何も説明できない……」と顔を隠したまま弱々しく言っていた。

 その日はそれ以上何も教えてはもらえず、王子もどこか気まずそうにしていたためマリアは家に帰ることにした。








 王宮からの帰り道。
 マリアは王子とのやり取りを思い出しながら、『恋愛感情の好き』について考えていた。



 自分にとって1人しかいない、恋愛感情で好きな相手。
 まさか、エドワード様にとってのその相手が私だったなんて……。



 レオやエミリーの話によると、自分だけが好きな場合は『片想い』、お互いがそういう意味で好きな場合は『両想い』と言うらしい。

 レオが言っていたマリアの望む結婚をしてほしいというのは、この『両想い』の状態で結婚してほしいということのようだ。



 ここで私がエドワード様を恋愛感情で好きになったら、両想いってことになるのね。



 マリアの理解力は早い。
 教えた張本人であるレオもエミリーも、ここまでしっかりとマリアが理解できるようになるとは思っていなかっただろう。



 でも……私はきっと、まだエドワード様のことをそういう意味で好きじゃないよね? 
 レオの言ってた『嫉妬』も『ドキドキ』もないし……。
 その2つがあると、恋愛感情って言えるかもって話だったよね。
 それならむしろ……。


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