心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない

 マリアの頭の中に、グレイの顔が浮かぶ。

 今日王子を訪ねたのは、グレイと他の女性がパートナーになるのをやめさせたかったからだ。自分がグレイのパートナーになりたかったからだ。
 これを嫉妬というのではないかと、マリアは考えていた。



 私のたった1人の好きな人って……もしかしてお兄様なのかな……?



 グレイ以外には、この嫉妬という感情を持ったことはない。
 あとはグレイに対してドキドキすることがあれば、この気持ちを恋愛感情で好きだと言えるだろう。



 ドキドキか……。
 たまに、お兄様に見つめられると鼓動が速くなることがあるんだけど、それ?
 でも、手をつなぐだけでドキドキするってレオは言ってたよね?



 手をつなぐどころか、抱きついたこともあるマリア。
 グレイに抱きついている時は、ドキドキというよりも幸せな気持ちになることを思い出す。

 安心感に包まれる感覚で、ドキドキと鼓動が速くなるのとは真逆だ。



 うーーん。やっぱり、お兄様に対しても恋愛感情じゃないのかなぁ?
 好きな相手が誰もいない時もあるってレオが言ってたし、私には今好きな人はいないのかも。
 


「マリア」

「え?」

「すごく真剣に考え事してたみたいだけど、大丈夫? もう屋敷に着いたよ」

「あ……本当だ」

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