運命の人
 「はい、これ」

 ホームへと昇るエスカレーターのところで佐々木くんに紙袋を渡す。

 「なに?」

 佐々木くんは受け取り、中を覗いている。

 「付き合ってくれたお礼。季節の上生菓子とどら焼き」

 「いいのか?」

 「もちろん。それに私も買っちゃった」

 袋を見せると佐々木くんが呆れたような顔をした。

 「俺はなにもしてないんだからお礼は要らなかったのに」

 「そんなことないよ。私一人だったら騙されていたかもしれないんだから」

 「んー。じゃあこのお礼しないとな」

 佐々木くんはエスカレーターを降りると、飲食店の掲示板に目を向けた。

 「飯、食っていくか。ご馳走しますよ」

 「いいけど、それだとまた私がお礼しないといけなくなるから。割り勘でどう?」

 提案すると佐々木くんは笑った。

 「ハハ。いいよ、わかった」

 佐々木くんが笑ったのにつられて私も笑う。
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