運命の人


 「なにがいいかな。迷うね〜中華がいいかな〜…って、うわっ?!」

 佐々木くんと並んで掲示板を見て飲食店を探しているところに、急に腕が掴まれ、体が後ろに引っ張られた。

 「なに?!」

 驚き、見上げるとそこにいたのは。

 「如月…さん?」

 綺麗な顔立ちとスマートな姿。

 たしかに如月さんなのに、私の腕を掴んでいる男性の目は私ではなく、佐々木くんの方を見ている。

 (他人の空似?)

 そう思ってよく見てみるけど、やっぱりつい先日会った人だ。
 だから確認のためにもう一度名前を呼ぼうとしたけど、それより早く佐々木くんが口を開いた。

 「今、如月って言った?」

 「え?あ、うん」

 「もしかして例の?」

 佐々木くんのその言葉に小さく頷くと、佐々木くんは如月さんが掴んでいる私の腕とは逆側の腕を掴み、自身の方へとグッと引き寄せた。

 「うわわ」

 引かれた拍子に前のめりになり、佐々木くんの胸に飛び込む形になってしまった。

 「ごめん」

 謝ってから体勢を整えて佐々木くんの隣に立ち、小さい声でお礼を言う。

 「ありがとう」

 「ん」

 佐々木くんの短い返答が気になって見上げると、佐々木くんは如月さんの方を鋭どい目つきで見ていた。
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