運命の人
日中、詐欺師かもしれないと言う話をしていたからそういう目つきで見るのかもしれないけど、初対面の相手にその視線はさすがに失礼だろう。
如月さんはこの無遠慮な視線をどう思うのか。
様子を伺えば佐々木くんの視線をしっかりと真正面から受け止めていた。
でも私の視線に気付くと、柔らかな笑みを浮かべて言った。
「こんなところでお会い出来るとは。お買い物ですか?」
「あ、はい。あ!」
今、渡した方がいいかな?と佐々木くんに聞くように見上げると、佐々木くんは小さく頷いた。
「先日の、タクシーのお礼を買いに来たんです」
紙袋を差し出す。
すると如月さんは驚いたように目を少しだけ見開き、紙袋に手を伸ばした。
「気にしなくてよかったのに。でもせっかくだから。ありがたくいただきます」
如月さんは鞄を地面に置いてから、丁寧に両手で受け取ってくれた。
「今度はこちらがお礼をしないといけませんね」
「え?あ。フフ」
ついさっき佐々木くんと会話していたのと同じ内容に、思わず佐々木くんを見て笑ってしまう。
「同じこと言ってる」
コソッと言うと佐々木くんは困ったように笑った。
「お前、この状況で。ていうか澪がお礼お礼って言うからだぞ。そのうち何のお礼なのか分からなくなっても知らないからな」
「そんなことにはならないよ」
バカにされたような気がしてムッとすると佐々木くんは「皺」と言って眉間を小突いた。
その瞬間、パシッと如月さんの手によって佐々木くんの手が取られた。