運命の人
「如月玲、32歳。前に渡した名刺に嘘偽りはないし、詐欺師でも絶対にない。恋人はいないし、もちろん既婚者でもない。信じてくれる?」
問われて、如月さんの目をジッと見つめる。
真剣に。真っ直ぐ見つめる。
それに対して如月さんは揺れることなく私を見つめ返してくれた。
胸がドキドキしている。
気持ちが高揚していく。
「信じます」
はっきりと告げれば車内に漂っていた緊張感が如月さんの笑顔とともに和らいだ。
「信じてくれてありがとう。でもまだだ。肝心なことを言わないと」
如月さんは姿勢を正して続きを口にした。
「俺は樋口さんのことが好きだ。出会った瞬間から。強く惹かれた。今ではいつどこにいても樋口さんのことを考えている。俺と付き合ってほしい」
ストレートな告白に胸を打たれた。
スーッと涙が頬をつたう。
「樋口…さん?」
如月さんが驚いたように目を見開いた。
「すみません、私」
涙を拭うためにハンカチを取り出そうと鞄に手をかけようとした。
でもそれより早く如月さんの手がそっと頬に触れて優しく涙を拭ってくれた。
「ごめん」
不安そうな表情の如月さんを見て胸が締め付けられる。
「困らせてしまったかな?」
「そんなことないです。私、嬉しかったんです。泣けちゃうくらいに嬉しかったんです。一目惚れが本当であって欲しいと心のどこかで願っていたから」
「本当に?」
聞かれて頷く。
それからしっかりと如月さんの目を見て告げる。