運命の人
玲サイド

 もっと知りたい。
 もっと近づきたい。
 望むのならどんなことでもしてやりたい。
 その点では和菓子作りは正解で、すごく楽しそうだった。

 『見てください!』

 手作りの上生菓子を手のひらに乗せ、無邪気に楽しんでいる姿はとても可愛く、見ているだけで幸せで、もっと喜ばせてやりたい、楽しい時間を過ごさせてあげたいと思った。

 『和菓子でも洋菓子でもなんでも、食べることが好きなんです』

 和菓子作りを終えた後、立ち寄った地元で有名な蕎麦屋で美味しそうに蕎麦を啜っていた彼女はそう言っていた。
 俺は作るのが好きだから家に呼んで料理を振る舞ってあげるのもいいかもしれない。
 でも付き合い始めて間もないのに家に呼んだら警戒されるか。
 困ったな。
 決断力はある方なのに、次の予定があれこれ悩んで決められないだなんて。
 飲み物でも飲んで一旦、落ち着こう。
 冷蔵庫を開けてミネラルウォータのペットボトルを取り出す。
 とその時、スマートフォンが震えた。

 【今日はありがとうございました】

 彼女からのメッセージだ。
 俺はミネラルウォータを机の上に置き、スマートフォンを手に取る。

 【次はいつ会えますか?】
 →今すぐにでも、と一度打ってから消し、代わりに通話ボタンを押す。

 「あ、も、もしもし?」

 突然の電話に驚いたのだろう。
 焦っている様子が手に取るようにわかり、口元が緩む。

 「如月さん?」

 「あ、ごめん。声を聞きたくなったから」

 「またそういうこと言って。返答に困るのでやめてください」

 照れて頬を染める彼女が想像できた。
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